このページでは、機密書類の溶解処理サービスの特徴や、セキュリティ面での不安要素などについて解説しています。
溶解処理とは、機密文書などを製紙工場へ搬入して、破砕せずにそのまま溶解釜へ投入して処分する方法のことです。処理業界において多くの業者が、この溶解処理を行っています。
溶解処理サービスには、書類の入った段ボール箱ごと処理するケースと、紙以外を分別した後に処理するケースがあります。段ボール箱ごと処理する場合、溶解過程で紙以外のものを分別して、それぞれリサイクルすることができるため、こちらが事前に分別する必要はありません。
料金は業者によってさまざまで、ダンボール1箱で数百円の業者もあれば、2,000円を超える業者もあります。
処理過程のセキュリティ:△
溶解処理は、企業で梱包したケースごと溶解するため、一見セキュリティ性が高いように考えられます。
ただし、溶解処理を行っている業者の多くは、一般的製紙メーカーの工場です。
セキュリティの専門家ではないため、回収した機密文書をしばらく放置することがあるかもしれません。
また、企業から機密文書を回収する、文書を保管する、溶解するという工程に複数の業者が絡んでいる場合は、業者の数が増えるごとに情報漏洩のリスクが高まると考えましょう。
セキュリティを重視するならば、回収から溶解まで、ワンストップで完了する業者に依頼するのがおすすめです。
なお、目の前で文書が処理されないことも、セキュリティが懸念される理由の一つです。
たとえば、出張シュレッダーサービスの場合は、目の前で文書を細断してもらえます。
一方で、溶解処理では文書の溶解性を確認するのは業者の担当者のみです。
溶解証明書は発行してもらえますが、セキュリティが不安な人は、目視で廃棄状況を確認できる処分方法を選ぶとよいでしょう。
サービスの利便性:△
溶解処理は、書類の入った段ボール箱を開梱しないまま溶解釜へ投入できるので、中身を人目に触れさせずに済みます。その点ではセキュリティ面での安心感があるでしょう。
しかし、安全性において不安要素もあります。溶解処理業者は、自社工場ではなく、製紙メーカーの工場を借りて処理することになります。したがって、製紙メーカーの都合が悪ければ、お客様の都合を優先することはできません。工場のスケジュール調整が必要なため、すぐに処分されず、しばらく保管庫に置き去りになることも少なくありません。機密情報が置き去りになるということは、それだけ情報漏洩のリスクが高まるということ。さらに、処理専門業者ではないため、セキュリティに対する認識が薄いことも不安要素です。
また、製紙メーカーの受け入れ体制に左右されてタイムリーに処理できないので、利便性もあまり良くありません。溶解処理サービスは頼んでもすぐに回収に来てくれなかったり、回収はすぐに来てくれても、製紙メーカーへの持込予約が確定して実際に搬入するまでには時間を要する場合があります。
こうした不安要素を取り除くために、出張細断サービスや専門工場破砕サービスは、まず大型のシュレッダーで情報抹消を最優先に行い、その破砕片を製紙メーカーに持ち込んでいます。ここがセキュリティ面の大きな違いです。
機密文書の溶解処理とは、文書を閉じたホチキス、あるいはバインダーをまるごと溶解する手間がかからない方法です。
溶解処理を行う際は、溶解する文書をケースに入ったまままるごと装置に投入し、攪拌して紙の繊維を解きほぐします。
どろどろになった溶解液は、業者が目視で確認した上で「溶解証明書」を発行します。
続いて溶解液を、紙繊維と残渣物にわけねばなりません。
残渣物とは金属片などを指し、分別せずに投入したホチキス、バインダーなどの金属部分が残ります。
残渣物は回収され、金属部分は製鉄原料に、そのほかの物質は焼却され熱エネルギーとして使われます。
溶解処理は、紙繊維がリサイクルされるのはもちろんのこと、残渣物まで有効活用されるため、エコロジー処理方法といえるでしょう。
リサイクルされた紙繊維は、ダンボールの材料や再生紙ペーパータオル、雑誌などに生まれ変わります。
出張シュレッダーサービスを依頼すると、機密文書は細断されたのちに溶解処理が行われます。
ただし、業者によってはホチキスなどの金属片が入っていると、溶解処理ができないため、細断の前に分別作業が必要になる場合があります。
出張シュレッダーサービスと溶解処理は、いずれも最終的には文書を溶解することになります。
ただし、分別処理の有無が大きな違いです。
手際を重視する場合は、分別しなくてすむ溶解処理の方が適しています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
溶解処理 | ・手間がかからない。分別せずに溶解処理が可能 ・フタを開けることなく溶解できるので情報が漏れない ・エコロジー。再生紙へとリサイクルされます。 |
・溶解は委託が多い。1社で完結しない場合も ・工場によりセキュリティレベルはバラバラ ・目の前で処理されない |
破砕(専門工場シュレッダー)処理 | ・処理専門工場はセキュリティ体制が万全 ・エコロジー。リサイクルが可能 ・自社のシュレッダーと異なり漏洩リスクほぼなし |
・バインダーなど書類分別が必要 ・目の前で処理されない |
焼却処理 | ・可燃物の廃棄に有効 | ・リサイクルに貢献されない ・コストがかかる |
結論、処理方法によって一概におすすめな方法はありません。溶解処理であっても、委託している場合は処理までに時間がかかったりセキュリティレベルがわからないことも。破砕(専門工場シュレッダー)処理も同様です。結局は、依頼する会社がワンストップで対応するのか、第3者からセキュリティ認証を取得しているかが見るべきポイントとなります。
次のような流れで、溶解処理が進められるのが一般的です。
まずは、溶解処理サービスについて問い合わせます。その際に、サービス内容や方法についての疑問点があれば、明らかにしておくことが大切です。また、日程調整などもおこないます。立ち合いを希望する場合には、それが可能かどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
工場まで機密書類を運送します。他の荷物と混載して運搬をおこなう業者もありますが、機密性を維持することが重要ですので、カギをかけた専用ケースを使用し、かつ専用のトラックを利用できる業者を選ぶことをおすすめします。
ほとんどの業者は、機密文書が入ったダンボール箱を、開封せずにそのまま溶解処理機へ投入します。これは、誰の目にも触れないようにしてリスクをおさえ、処理をすることを目的としています。ちなみに、溶解処理機とは、大きいミキサーのような機械です。機密文書を、水と攪拌力で繊維になるまでほぐすことができます。
溶解処理が済んだ文書を、紙資源としてリサイクルし、ノートやトイレットペーパーに使用する業者は少なくありません。地球環境へのダメージを軽減することができる「資源循環型リサイクルシステム」を導入した処理方法だといえます。
溶解証明書の発行が、溶解処理サービスの中に含まれている場合が多いです。機密文書が復元不可能な状態にされたことを証明する書類なので、処理業務完了後に溶解処理証明書をもらえるのかどうか、あらかじめ確認しておくことが大切です。
ここでは、溶解処理サービス業者の一部を紹介しています。
テルヰは機密文書の廃棄から廃棄物回収、事務所移転などに対応している業者。事務所移転に伴う機密文書廃棄について地球環境に配慮し、溶解処理後はリサイクル処理につなげています。情報保全の意味合いでも信頼できる業者です。
要興業は、機密文書の廃棄を高いレベルで行ってくれる会社です。情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格を有しているだけでなく、日本で認証実績が豊富な審査機関BSIジャパン(英国規格協会)による審査もクリアし、公に認められた高い機密保全性があります。
美濃紙業は、機密文書の廃棄を専門とする業者。溶解と細断の2つから、ニーズに合わせて処理方法を選択できます。溶解サービスについては回収した段ボールを一切開封することなく、パルパー(溶解炉)へ投入するので、情報漏洩の心配がありません。
永田紙業は機密文書を廃棄した上で、新たな紙としてリサイクルしてくれる業者。溶解処理に立ち会うことも可能です。また、処理に関しても負担のかからない金額設定をしており、会計内容も分かりやすく提示してくれます。
栗原紙材では、機密文書の処分に関して高いセキュリティを有した状態で行ってくれます。回収車にはGPSや盗難防止システムを搭載・施錠もされているので、何かあったときもすぐに対応可能。情報漏洩の可能性は限りなく低くなっています。
大塚商会は機密文書の溶解処理に対応している会社です。責任を持って復元不可能な状態にまで処理してくれるので安心感があります。また溶解費用については、処分する文書が大量であればシュレッダーによる処理よりも安上がりになります。
日本通運では不要になった機密文書を溶解処理し、リサイクルするサービスを展開しています。クリップやホチキスといった処理の際に邪魔になるものを取り外す必要もなく、非常に簡単に処理まで進めてくれます。
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コンプラ係長
社内でコンプライアンス関連の業務に携わっています。書類の処理について、いつも口うるさく言っているので、周りからはコンプラ係長と呼ばれています(笑) いま、適切な情報漏えい対策をすることが、企業の課題になっていると思います。メールや外部メモリーなど、情報漏洩の原因は様々ですが、実は紙(書類)からの漏洩が7割を占めているのです。 社内から情報が漏れて信用問題にならないよう、早めに機密文書の廃棄業者を手配しておきましょう。
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