このページでは、企業における履歴書の保管・廃棄方法について紹介しています。履歴書は個人情報の塊とも言える書類であり、厳重に取り扱わなければなりません。どのように対処をしていくべきか正しく把握しておきましょう。
まず、履歴書はなぜ保管しなければいけないのかについて、触れていきます。大きな理由の一つとしては、会社と社員の間でトラブルが発生した際に、社員の身元や経歴についての事実確認を行うためです。分かりやすい例としては、社員が経歴を詐称して入社してきた場合、履歴書は経歴詐称の証拠として大きな意味を持ってきます。また、社員に何かあった際の緊急連絡先も、履歴書には記載してあるでしょう。そのような情報を把握しておく意味で、履歴書が重要になってくるというわけです。
次に、履歴書の保管義務について紹介していきます。役所の見解によると、企業にとって履歴書の保管義務は「ない」とのこと。つまり、保管をしていてもしていなくてもよく、企業の裁量に任せられているそうです。ただし、社員が会社にいる間の記録として残していく「労働者名簿」は、法律によって保管の義務が定められています。これらを踏まえ、履歴書の取り扱いについて考えていきましょう。
履歴書の保管義務はないとしましたが、退職者の履歴書はどのように扱えばいいのでしょうか。法的な義務のことを考えると、退職した人の履歴書はすぐに破棄してしまっても問題はありません。しかし、場合によってはしばらくたって復職したり、何らかのケースでその人の情報が必要になったりするようなこともあるかもしれません。そのため、おおむね3年から5年程度は履歴書を保管しておく企業が多いようです。
また、もしそういった履歴書を一気に破棄・処分していくようなことがあるのであれば、厳重な管理体制のもとで外部に情報が流出しないように対応する必要があります。かなりの労力がかかるので、場合によっては外部の処理専門業者に委託する、ということも考えた方がいいでしょう。
履歴書の保管義務については、不採用者のものも同様に、保管義務はないとされています。ただし、不採用者から応募した際に送った履歴書の変換を求められるケースがあります。そのときに何も言わず「廃棄した」「返却できない」と応じてしまえば、会社に対する不信感につながりかねません。不採用者も今後顧客になる可能性や同業他社に就職する可能性もあり、むげにするのは会社にとって決してよくはありません。そのため、不採用者の履歴書の取り扱いについても、厳重を期する必要があると言えます。また、履歴書の取り扱いについては、どのようにするかを応募してもらう段階でハッキリと伝えておくようにするといいでしょう。
不採用者に履歴書を返却することは、会社のイメージアップになります。ただし、全ての応募者に返却をするとなるとコストや人手がかかり、あまり現実的ではありません。もし全員に返却する余力があるのであればそのように対応するのも一つの手ですが、基本的には一定期間保管しておいて、求めがあればそれに応じて返却する、という形で進めるのがよさそうです。
その後、履歴書を処分するのであれば、しかるべき専門業者に委託し、個人情報が流出しないよう丁重に扱ってもらいながら、廃棄を進めていきましょう。その際、処分をしたという記録をしっかりと残しておくことで、その後の問い合わせなどにも対応できます。また、処分をするのであれば、どのタイミングで処分するのかを明確にし、応募者に伝えておくようにしましょう。
履歴書を廃棄する際は、明確なルールやフローを設け、それに則って処分することが大事です。社内のシュレッダーで破棄してゴミとして出してもいいのですが、それでも個人情報流出のリスクがなくなったとは言えません。可能であれば、機密書類の処理を専門としている業者に委託し、速やかに対応してもらうようにするといいでしょう。
履歴書は、れっきとした個人情報であり、取り扱いには厳重を期することが必要です。特に不採用者のものに関しては、会社の営業には関係がないのですが、その人個人にとっては大事な情報であり、うかつに外部に流出してしまうと、損害賠償などにもなりかねません。履歴書は保管するにせよ破棄するにせよ明確なルールを設け、それに則って運用するようにしましょう。また、履歴書をどのように取り扱うかは応募者に対して前もって伝えておくようにしましょう。そして、返却をする意志があるのであれば、申し出に合わせて速やかに対応すべきですし、もし返却を明記していなかったとしても、問い合わせがあれば返却できるようにしておいた方がよさそうです。
コンプラ係長
社内でコンプライアンス関連の業務に携わっています。書類の処理について、いつも口うるさく言っているので、周りからはコンプラ係長と呼ばれています(笑) いま、適切な情報漏えい対策をすることが、企業の課題になっていると思います。メールや外部メモリーなど、情報漏洩の原因は様々ですが、実は紙(書類)からの漏洩が7割を占めているのです。 社内から情報が漏れて信用問題にならないよう、早めに機密文書の廃棄業者を手配しておきましょう。
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